2009年11月28日土曜日

EX MACHINA


局:BShi
放送日:2009/11/28
評価:HV1280

遠景の建物などCGの精細さが活きるところはもっと大きな分布で鮮明なところもあるけれど、人物が含まれるシーンはこの程度のところが多い。動きの大きな部分ではブロックノイズが大量発生しているけれど、普通のアニメほど輪郭がはっきりしないこともあって破綻が目立たない気もする。

人物の輪郭が線として絵が描かれているため、ジャギ感が出ているところもあるけれど、少しソフトに仕上げているので、それほど目立たない。それでもCGらしい比較的はっきりしたジャギも残っているところが多く、ほぼ正確に1280x720の特徴が確認できる。

画質関係ないけれど、作画枚数とか関係なさそうな割りにカメラを動かすような効果が大好きだったらしく、ほとんどのカットでカメラが微妙に動き続けるために見ていて酔いやすく疲れやすい、というのは個人的な感想。

エレメントハンター 21話でまた縞のお話 後編

中身を見ると無茶なことをやっているように感じると思うけれど、様々な実験と試行錯誤の末、予想以上に良好な映像が得られる状態になったので、最終的にはDestripeとの統合も考えているとか無駄もあるけれどとりあえず出してしまおう。

という事で、HV1280-iの周期的な乱れを補正してより自然な絵に戻すスクリプト evenly720をこちらで公開しました。実験の実寸画像も置いてあります。


縞になっていてもフィールドとしては劣化の少ないHV1280-iもあり、すべての場合に効果があるわけではないものの、大半のHV1280-iで効果が確認できます。放送中のHV1280-i相当のアニメとしては、エレメントハンターは最も効果的な例で、逆に充電ちゃんではevenly720を使うよりDestripeのmodeの値で調整した方がいい例かも。

evenly720の設定

evenly720と名前にも入れた通り縦720固定です。通常Destripeとセットで用いるもので、Destripeで縦720にした直後に使います。

設定値は二つです。

evenly720(int "type", int "amount")

最初のtypeの値は0~3を指定しますが、フィールドの拡大処理に依存するため、HVの縞の分類4パターンごとに共通の設定になります。サンプルが少ないパターンもあるため例外も出てくるかも。

二つ目は補正の強さで、作品ごとに線の乱れに合わせて調整が必要です。ほとんど場合10~30の範囲でバランスのよい結果が得られる。

HV1280-i(GONZO)の場合
Destripe(360, 6, 4, 3).evenly720(2, 20)

typeは2です。強度は10~20程度でバランスのよい線になるものが多い。

HV1280-i(SPICE)の場合
Destripe(360, 4, 3, 3).evenly720(3, 30) お詫び:数字が間違っていました

typeは3です。エレメントハンターなど比較的強い補正が必要なものもあり30から試すといいかも。デュラララ!!番宣1回目もこの設定でよい結果になります。逆にevenly720は使わずDestripeだけの方がよい結果になるものもあります。

HV1280-i(SION)
Destripe(360, 6, 1, 0).evenly720(3, 20)

これもtypeは3。それほど線の輝度ムラが目立たずDestripeだけで十分なものが多い。

HV1280-i(07)
Destripe(360, 7, 7, 5).evenly720(1, 30)

typeは1。evenly720効果が十分確認できるものが多く、30程度と強めの補正が効果的。デュラララ!!番宣1回目の数カットもこの設定が有効。


注意点
evenly720は線を細く鮮明にする効果がありますが、逆に副作用にもなることがあります。周期的なムラを補正するための処理ですので、線の鮮明さではなく線が滑らかになるかどうかに注目して補正した方がよい。Destripe後に線に周期的な乱れが出ていないのであれば使わない方がよく、鮮明な線にしたい時はDestripeのmode値を指定して調整した方が無難だろう。

線に乱れがあっても綺麗にならない場合もあります。元の絵の状態から乱れがあったとか、実際の映像は横方向にも拡大されているためリサイズの劣化が横方向に出ている場合など。




先日のデュラララ!!番宣2回目とかマ王3期の縦713程度の特殊な特徴を持つHV1280-iも、試してみると効果がありました。丁寧に調整した数字ではありませんが効果を確認できる設定を示します。縦横比に注意して下さい。

デュラララ!!番宣2回目の大半のカット
Destripe(357, 9, 5, 5, 2)
AddBorders(0, 0, 0, 6)
evenly720(3, 25)

デュラララ!!番宣2回目の1部、およびマ王3期の本編
Destripe(357, 3, 3, 2, 2)
AddBorders(0, 0, 0, 6)
evenly720(1, 25)

エレメントハンター 21話でまた縞のお話 中編


例によって実験で再現してみる。

わかりやすいように4倍に拡大した状態で比較。

上は、元となる1280x720の映像の一部を拡大したもの。



エレメントハンターと同様HV1280-i(SPICE)のパターンを再現して縦720→1080に拡大した状態。この実験では横方向は拡大していません。

エレメントハンターは最初からボケ感が強い絵のため、もう少し乱れは小さいように見えるけれど、これと大差ない状態。

細かい縞状の劣化だけでなく、線に濃淡がありボケた破線のように見えるところもある。



Destripe(360, 4, 3, 3)のSPICEの設定で縦720に戻した状態。

乱れは軽減され、縞状の劣化は消えるものの、拡大時の輝度ムラはそのまま残ってしまい、線の周辺にも若干にじみが出ているのが分かる。テレビで動画で見る場合この状態でも放送そのままに比べるとかなりすっきりした映像になるけれど、上のオリジナル映像と比べると、もう少しどうにかしたい気分になる。



ということで、もう少し工夫してみた結果。

線の輝度の周期的な乱れや周辺の影が消え、オリジナルと比べても遜色ない状態まですっきりした絵に回復できる。

後編につづく。

エレメントハンター 21話でまた縞のお話 前編


局:NHK-E
放送日:2009/11/28
評価:HV1280-i


フィールドでの拡大で縞の出ている状態は相変わらず。1話より悪い分布だけど、ボケた感じの回も少なくなく、もっと小さい分布の時もある。




Destripe(4, 3, 3)で縦720に戻した時の分布。縞状の乱れは消え、見た目にもすっきりした画質になるけれど、上下に影のような分布が薄く残っている。よく見ると線に周期的なムラも残った状態で、放送そのままの映像よりは上の画質だけど良い画質とも言い難い。Destripeの能力不足というより、720→1080の拡大処理で劣化してしまった問題がそのまま残っている結果。

拡大処理時の問題はデジタル的な計算の結果でもあるので、荒れているといっても正確な周期的特徴を持った劣化になっている。その特徴をうまく利用して補正すればもっとよい状態の絵になるはず。




ということで、Destripe後の映像に劣化を相殺するような補正をかけてみた分布。奇妙な影もあまり目立たなくなり、円に近いすっきりとした分布が得られる。

中編に続く

デュラララ!! 番宣 2回目


局:TBS
放送日:2009/11/27
評価:HV1280-i


見ていても気付かないような違いだけれど、先週の映像とは少し異なる不思議な変化があった。

先週と同じフレーム。といっても似たような分布で違いがわからないけれど、今回は先週の映像を僅かに拡大した状態に変わっている。縞の特徴も縦720からと713程度と小さくなり、横方向も同じ比率で切れている状態。この微妙な拡大もフィールド単位に行なっている。

この数字はマ王3期の変則HV1280-iと同じで、先週HV1280-i(07)だったカットはマ王と同じ設定Destripe(357, 3, 3, 2, 2)で縞の解消ができるくらい特徴が近似しているので、何か関連があるのかも。逆に先週と今回の映像の特徴から、マ王の変な映像は縦720からHV1280-i(07)で1080i化した映像を、さらに周囲を少し切り取ってフィールドで拡大したものだったと考えられる。

ちなみに、先週HV1280-i(SPICE)状態だったカットはDestripe(357, 9, 5, 5, 2)あたりでそれなりの絵に戻すことができる。変な加工のない先週の映像の方がより元のイメージに近い絵になるけれど。

低画質化というわけでもないし、縞をぼかして線の荒れを隠すというわけでもなく、何がしたいのかよくわからないけれど、本放送もマ王同様奇妙な特徴の縞画質になる可能性もありそう?