2012年7月20日金曜日

となりのトトロ



局:日本テレビ
放送日:2012/07/14
評価:HV1280?

2年前チェックしたところとは異なるフレームだけど、奇妙な影付き分布の特徴は相変わらずでHVとしての出来の悪い中途半端な画質のまま。強烈なグレインの影響で圧縮劣化も目立つ不安定な映像で酷くあれた映像になってしまっている。

劣化で線の輪郭もかなり荒れているので誤認の可能性も高いけれど、元がフルHDとは思えない粗いジャギの特徴も見えるし元は1280x720程度の低解像度HVを疑いたくなる変な映像。

この状態のままでBD化だと相当不満を感じることになりそうだけどまったく違ってた。ということでBDの特徴を見ておこう。



販売元:スタジオジブリ
発売日:2012/07/18評価:HVFULL

BDの同じフレームの分布。

グレインの影響で暗くもやっとした分布になっているけれど、非常に大きな円に近い分布で、テレビ版とはまったく異なる特徴になっているBD。線の特徴を見る限りフルHD、あるいはそれ以上でデジタル化したような特徴になっていて解像度面では文句なしの精細さ。放送同様上下に黒帯があるジブリ標準のビスタ仕様映像なので、絵の部分では縦1080ではないけれど、文字通りフルHDの映像と言っていいだろう。

放送と比べると目立たなくなっているけれど、BDでも相変わらずグレインがはっきり残っていて、環境によっては若干ざらついた感じに見えることもありそう。デジタル的なフィルタ処理を加えたような特徴もあり、これでもグレイン軽減もやっているようだ。ただ、その副作用で放送では残っていた背景のディテールが潰れてしまっているところも稀にあり、やはりグレイン軽減は絵の情報が欠落する副作用がある感じ。といっても全体としては放送HV版とは比較にならない緻密な映像になっているし、フィルムの雰囲気を適度に残した処理としては悪くない。

そんなグレインの特徴より視聴上大きくな違いになっているのが色と明るさの違い。テレビ放送版が色の濃い派手な色になっていたのに対し、BDはかなり彩度が低く地味な絵になっている。放送版がテレビアニメっぽい絵になりすぎていた感じもするので、色についてはBDの落ち着いた質感の方が個人的には高評価だけど、最近のデジタルアニメになれた目には古臭い絵と感じてしまうこともありそう?

色以上に違いを感じるのが明るさのバランス。放送版は雲が白く見えるくらい明るく、線も十分暗いどちらかというとくっきり画質になっていたのに対し、BDはコントラストが低く、雲などの明るい色があまり白く見えないかったり、線が全体に黒浮き気味な上、高精細になったために細くはっきりせず、メリハリのない絵になっているところも少なくない。明るさや色は見続けれていればすぐに目が慣れ違和感も感じなくなるけれど、映画らしい落ち着いた質感としてもやや暗すぎる感じがするしテレビ用に売る以上常識的な明るさすべきだろう。ラピュタは個人的に少し明るすぎる感じがしたけれどこれは逆に暗すぎる。ジブリ系作品のBDは作品ごと特徴が異なり過ぎ、なところが一番気になるところかも?

そんなメリハリのない絵になったことも影響してか、一部のカット(縁の下に逃げ込むところを追っかけるメイのシーンなど)でまったく画質の異なる状態になているところがわかりやすくなっていた。この辺りは、他のところより線も太めでしっかり黒いくっきり画質になっているので、見ていても変化に気付く人も多そう。


もう一点放送版とBDでは絵の周囲切れ分が異なり、BDの方が広く放送版は周囲が切れた状態になっていた。その分放送の方が少し絵が大きくなっているのでBDの映像を少し拡大したような状態になっている。実際の処理は映像だけではわからないので憶測になるけれど、特徴も大きく異なるので、放送版が少し拡大した状態だったというわけではなく、BDはテレシネからやり直したまったく別ソースなのだろう。

文句なしと絶賛するほどの出来でもないけれど、放送に近い微妙画質を覚悟していたのでまずまず満足できる画質だった。まあ最大の問題は画質じゃなくて価格だな・・・