2014年2月3日月曜日

中途半端なサイズの考察

HV1280+作品を中心に京アニ標準の縦955.5のような整数で16:9にならない中途半端な特徴のアニメが一時期多かったけれど、最近は激減して京アニを除くと整数で16:9になるサイズに落ち着いてきた。特に面白い話でもなく何度か似たようなことも書いているけれど、奇妙なサイズ問題もほぼ終焉という雰囲気になってきたのでまとめておこう。

中途半端なサイズの映像になる理由を挙げて見ると

  1. 最初から正確な16:9にはこだわらず近似値で作っていてその特徴がそのまま残った
  2. フルHDサイズに拡大する処理での設定が雑で絵が切れた
のどちらか、あるいは両方に該当する場合も考えられる。最初から変なサイズなのかどうかはテレビ映像で判断できないので、拡大時の問題に限定して考えてみる。

整数で16:9にならない数字になっていた作品を並べて見ると、半数以上に共通する特徴が存在するように見える。ややこしい話なので結論から書くと、

制作サイズの映像をフルHDにする時、縦1080ではなく縦1088に拡大してしまい、そこから縦8ピクセルを削って1080にした

ように見える作品が多いという話。この条件に合致しないものを含め、主な変サイズアニメを一覧にして見ると、

作品・制作など評価縦サイズ推定サイズ1080/1088サイズ
SD-p標準482.5720 x 486714.70 x 482.43+0.07
けいおん2期一部7151280 x 7201270.59 x 714.71+0.29
進撃の巨人1,2話8241472 x 8281461.18 x 821.91+2.09
GJ部2話830.51488 x 8371477.06 x 830.85-0.35
GJ部ED8351488 x 8371477.06 x 830.85+4.15
セキレイ2期8441504 x 8461492.94 x 839.78+4.22
探偵因幡8481520 x 8551508.82 x 848.71-0.71
進撃の巨人3話以降8571536 x 8641524.71 x 857.65-0.65
さんかれあ8691552 x 8731540.59 x 866.58+2.42
バカテス1期一部8851584 x 8911572.35 x 884.45-0.55
京アニ標準955.51712 x 9631699.41 x 955.92-0.42

評価縦サイズ: 放送映像のジャギの特徴から判断した数字
推定サイズ:  評価サイズより一回り大きい整数で16:9になるサイズ
1080/1088サイズ: 推定サイズを縦1088に拡大し8ピクセル削ったときに残るサイズ

1/100ピクセル単位は計算上の数字でしかなく実際の映像では0.5以下は誤差の範囲といってしまってもいいのだけれど、SD-pを含めた11種の中途半端なサイズのうち、0.5以下が4つ、1.0以下が3つと非常に近い数字になるものが多い。言い換えると青字の作品は元のサイズに関係なく同じ比率で欠けているように見える。

京アニ標準で具体的に処理を考えてみると、

撮影サイズは16:9になる1712x963で作っているのに、縦963→1080と拡大すべきところで963→1088に拡大した後で縦8ピクセル捨てられてしまい、元の縦963の映像のうち955.5(計算では955.92)分の情報が残った。縦横比は維持されているので横も同じ比率で欠けて、1712x963の映像から左右合計13程度、上下合計8ピクセル程度が失われた。

という感じになる。

欠けている部分はテレビ映像では見えないので実際この通りに処理されていると断定することはできないけれど、この処理を再現してみると京アニ映像と同じ955.5辺りの非常良く似た特徴の映像を作ることができる。WIT STUDIOの鬼灯の冷徹ように進撃3話以降の縦857から、その推定サイズに一致する1536x864の変わった制作の実例もあるし、的外れというほどのでたらめな推測ではないはず。

似たように変化したディーンのように1080/1088とは無関係な例もあるけれど、このリストの大半は意図してこのサイズにしたのではなく、不適切な拡大処理で絵が欠けてしまったもったいないアニメなのは間違いないだろう。


一つ謎なのは、まだ極一部でしかないHV1280+だけ絵が欠けた映像が多い点。いうまでもなく現在も大半のアニメは1280x720で作られているのに、1080/1088に合致する欠けのある作品は京アニのけいおん2期の一部と八ルヒ消失くらいしか存在しない。放送中のプピポー!のように0.5~1ピクセル程度僅かに欠ける作品はたまに見かけるけれど、ほとんどのアニメはつまらないくらい正確に縦720になっている。

1280x720を超えるサイズの映像を拡大する場合だけ特殊な環境が必要になる、といった憶測を考えないと1280x720で欠けが発生しない理由は説明できないそうにない。何が違うかテレビ映像として考えると1280x720であればそのまま720pで問題ないけれど、それを超える場合は額縁をつけて1080pサイズで保持するしかなく、拡大も720p→1080pと、1080pの額縁を取り除いて1080pと異なってくるのでこの辺りが影響?ただ1440x810や1600x900から欠けたと思える映像もないし、拡大処理の設定値を決めやすいわかりやすい数字かどうかが重要なのかも?