2013年1月14日月曜日

量子化行列の話


局の問題なのに、フジテレビの変化に気付かず作品の画質に問題があるようなことを書いてしまった反省から、2011年3月からデータから読み取れる局のエンコーダの特徴を基本毎日チェックしているので今回のBSフジの変化も確認できたけれど、明確に変化した要素は量子化行列の設定だった。今回は量子化行列とは?ではなく、現在の国内のデジタル放送における設定の傾向のお話。以下の特徴は定点観測を始める前から認識していたけれど、機会がなく2年近く放置してしまったので今回のBSフジの迷走に合わせてまとめておこう。

量子化行列設定もエンコーダ設定に1要素に過ぎず標準型の局もそれぞれ異なる画質になっているけれど、現在の設定型の状況の一覧を見ておこう。型はあに瓶恒例の勝手命名です。


設定型採用局
標準型 日本テレビ
TBS
フジテレビ(~2010/11)
テレビ朝日
テレビ東京
TOKYO MX
BS1, BSプレミアム
BS日テレ
BS-TBS
BSフジ(~2012/12/05, 2013/01/11~)
BS朝日
BSJAPAN
BS11(2011/03/26~)
BSアニマクス(CS時代も同じ)
キッズステーションHD
tvk型 tvk
TwellV
NHK型 NHK-G
NHK-Eテレ
BS11(~2011/03/25)
フジ型 フジテレビ(2010/12~)
BSフジ(2012/12/06~2013/01/10)
BShi型 BShi(BShi終了まで)



色の付いた局は2013/01/12時点で標準型でない設定で放送している局。興味深いことにあに瓶で見てきた分布の差からボケ局と判断した局のすべてが標準型ではない量子化行列を使っている(いた)。

大雑把にいうと量子化行列設定は圧縮時のデータの切捨て方を指定するものなので、鮮明さに影響するのは必然とも言えるけれど、ここまではっきり分かれることからボケ局になる最大の要因は量子化行列設定にあると言っていいだろう。標準ではない局はすべてボケた絵になっているけれど、そういう設定を使っているというだけで標準でなければボケるというわけではない。

通常の60iの実写では視覚的にプラスに働く場合もあるだろうし、ここでいうボケ局の画質が悪いというのは乱暴かもしれないけれど、線が重要なアニメではボケや微妙な乱れも見てわかる違いになりやすく、アニメの話をしているここでは画質の悪い局という評価になる場合がほとんど。

稀にイレギュラーな設定が出てくる局もあるけれど量子化行列は通常は変更しない設定で、上記一覧局で1年10ヶ月程度の間イレギュラーな例があったのはNHK-GとTwellVのみ。設定変更があったフジテレビ, BS11, BSフジを除き、それぞれの局の全サンプルが同じ設定になっている。通常の放送時間帯でチェックしているだけなので、試験放送などでは例外的なものもあるかもしれないけれど、一旦採用した設定は滅多に変更されることはない。

そんな状況だけに1ヶ月程度で標準→フジ→標準と変わったBSフジは迷走と言いたくなるような珍事だった。画質視点では元に戻して正解なのでこのままもう何もするな、と言いたいところだけど・・・

上のリストのうち現存しないBShi型だけは例外的な挙動で、放送内容によって動的に設定が変わる特異な局だった。
 


量子化行列に限らず局としての画質が大きく変わるのは稀な出来事なので、ここ2年での量子化行列設定、解像度の変化の一覧。

2010/12頃
 局:フジテレビ
 変更点:標準型→フジ型
 個人的評価:悪化(少しボケて線が崩れやすくなった)

2011/03/26
 局:BS11
 変更点:NHK型→標準型
 個人的評価:向上(ボケの解消、圧縮劣化の減少)

2011/04/01
 局:BS1
 変更点:720x480→1920x1080
 個人的評価:向上

 局:BSプレミアム(BShiからの移行と考えた場合)
 変更点:BShi型→標準型
 個人的評価:向上

2011/10/01
 局:BSアニマックス(e2からの移行)
 変更点:720x480→1440x1080
 個人的評価:向上

2011/10/17
 局:BS-TBS
 変更点:1440x1080→1920x1080
 個人的評価:向上(色、安定性はほとんど変わらないが鮮明になった)

2012/07/01
 局:キッズステーションHD@e2
 変更点:1920x1080→1440x1080
 個人的評価:向上&劣化(安定性が向上した映像もあるけど情報の欠落も増えた)

2012/12/06
 局:BSフジ
 変更点:標準型→フジ型
 個人的評価:劣化(フジテレビに非常に良く似た劣化画質になった)

2013/01/11
 局:BSフジ
 変更点:フジ型→標準型
 個人的評価:向上(元に戻った、まったく同じか似て非なる状態かは未確認)