2011年10月5日水曜日

いばらの王 -King of Thorn-


局:WOWOW
放送日:2011/08/22
評価:HV1280+

もう一つ、WOWOWの画質変化前後の違いを見てみよう。今回は先に変化前の分布で通常の評価から。

上下21ピクセル幅の黒帯付きビスタサイズ。

横も切れていない巨大分布でWOWOWでもそれほど多くない横1920マスタでの放送。ぼかしを避けていて極端に細い線もしっかり黒く恐ろしく精細で鮮明な超くっきり画質。逆に解像度の限界まで鮮明な絵にしているためにジャギ感の強い線になっているけれど、普通に見て気になることはないだろう。

滑らかな線に見えるように仕上げる作品が多いだけに、どちらかというと古風なHVという感じがする質感だけど、ここまで細かい描写も鮮明な映像も珍しくインパクト十分の凄い画質と言っていいだろう。

軽微なノイズ効果があったようなちらつきはあるもののグレイン風ノイズが見えるところはなく、比較的すっきりした映像になっていて、極端に情報量の多いシーン以外では圧縮ノイズも非常に少なく安定した映像になっているところが多い。

一見フルHD?と思ってしまいそうな細かい描写も多々あるけれど、注意深く見ると線に拡大した特徴もしっかり出ている。ジャギがはっきり残っている映像だけに数えるのも容易で、黒帯込みで1650x928程度のHV1280+映像のようだ。黒帯を除いた絵の範囲は1650x891でほぼ1.85:1になっている。




局:WOWOWプライム
放送日:2011/10/03
評価:HV1280+

変化後の同じフレーム。スペック的にはハルヒと似た変化でビットレートが数Mbps低く60iになっている。

動きの少ないところでは変化後でもほとんど差のない鮮明な映像になっていて大差ない巨大分布になっている。

といってもフレーム毎比較してみると動きの少ないところでもモスキートノイズが以前より常に多く、見ていて気付かないところでは微妙な劣化が起こっている。エンコードはフレーム単位で行うわけではないので、運が悪いと圧縮劣化が目立つフレームが出現することもあり、8月の放送で劣化の大きなフレームを選んで比較すれば今回の放送の方が安定していることもあるけれど、そんなところは極稀で全体で見れば完敗の状態。

それでもこの作品では僅かに線の周囲がわざわざしている感じがする時がたまにある程度で荒れた感じもほとんどなく、地上波レベルの不安定さに慣れた目で見れば現状でも十分安定した放送画質で悪いというほどでもない。




変化の影響が分布でわかるところも比較しておこう。ここは砂の嵐状のノイズが演出的に使われているカットで、上が8月、下が10月の放送。

圧縮の天敵とも言えるノイズだけに8月の放送でもブロックノイズが散見される程度の劣化は見えるけれど、まずまず大きな分布を維持できている。




10月の放送では細かいノイズは圧縮で潰れてしまい、その分中央の分布が小さくなっている。元の映像にあった効果としてのノイズは潰れても、圧縮劣化のノイズは逆に増えている。

変な模様はロゴの成分。上の比較でロゴの影響がないように見えるけれど、この分布はフレーム内の要素すべてを重ね合わせて見ている状態なので、情報の多い上のフレームでは相対的にロゴ成分の分布が暗くなり他の特徴に埋もれてはっきり見えなくなっているだけ。

他局と比べて悪いというほどではないものの、ビットレートが下がるなど圧縮に不利な条件が増えた分、ノイズ効果や精細な絵が動くところなどでは顕著にブロックノイズも増えていて、以前の放送とは思えないほどの安定感はなくなってしまった。

WOWOWに限らずその価値は画質だけにわるわけでもなく、と言うより大半の人にとっては画質の良し悪しはおまけ程度の価値だろうけど、例外的なフジテレビはともかく、ここ数年画質が大幅に向上した局が多かっただけにロゴ追加含めWOWOWの変化はがっかりというよりびっくりだった。

スーパーナチュラル:ザ・アニメーション 1話


局:日本テレビ
放送日:2011/10/04
評価:HV1280


小さな円分布のボケHV。コントラストは十分でボケても線が激しく黒浮きすることもなく分布の割りにはHVらしい質感になっているけれど、どこかはっきりしないバランスの悪い絵に見えてしまう環境も多そう。

リサイズやぼかし処理でもほとんど乱れがなく、テレビの鮮明化処理次第で十分鮮明に見える映像になるので、環境によって印象差も大きくなりやすい映像かも。ものたりない感じがするときは少し設定をシャープな方向に調整して見るのもありかな?

少しシャープフィルタで補正すると縦720のジャギも綺麗に残っていてこれもHV1280。

たまゆら ~hitotose~ 1話


局:tvk
放送日:2011/10/04
評価:SD-ip/486(A)

予想できたこととはいえ見なかったことにしたい気分になるけれど、単純にSD経由の低画質化程度では気が済まないのかわざわざノイズを増やす努力をしたような汚いアプコン画質。過去にも同レベルの酷い画質は多々あったけれど、こういう雰囲気のアニメでやられるとあまりの痛々しさに泣けてくる。

特に縦方向に乱れ潰れが目立ち縦360程度にも見えるジャギが出ているのでLB-SDの可能性も考えたくなるけれど、レタボ経由の分布ではないので状態の悪いSDなのだろう。

ちはやふる 1話


局:日本テレビ
放送日:2011/10/04
評価:HV1280


少し横長の楕円分布になるところが多く、コントラスト控えめで見た目にはソフトに見えるところが多い。効果で明るさを弄っていても不自然に見えることもなく、ボケ感がない程度のコントラストも維持していてるので見やすい映像になっている。

分布通り細かい描写が縦方向だけ潰れ気味になっているけれど、ノイズ効果も弱いので線が乱れることもなく縦720のジャギもしっかり残っていてこれもHV1280。