2011年12月9日金曜日

天空の城ラピュタ



局:日本テレビ
放送日:2011/12/09
評価:HVFULL

アプコンの場合、解像度の限界でどのフレームも似たような分布になるけれど、HVではフレームによって差が大きいので、前回放送で見たところとは別の場所でBDと比較してみよう。

上が放送、下がBDの同じフレームの分布。最近の優秀なHVと同等の大きな円分布で前回放送とは別次元の鮮明映像での放送。放送でもグレイン(ほんもの)の揺らぎははっきり見えているけれど、BDに比べるとグレインのノイズが潰れてすっきりした絵になっているために周囲が暗くなっている。逆に上下隅がBDより少し明るいのはインタレ劣化が出ているため。

解像度以外では明るさの違いが大きく、全体に暗く引き締まった絵になっている。アプコン版は白飛びしているところもあるくらい明るく色も不自然な絵で、今回の放送を見ると二度と見ようとは思わないし、比較するのばかばかしいくらい酷い。ただ、アプコン版の方が上下隅の切れが少なく、アプコンでは見えていた部分がHV版では切れてしまっているなど画質以外の視点で見るとHV版にも欠点といえる要素はある。逆に左右は特に左方向にカットによって違ってたHV版の方が広く見えていなかった部分が見えるようになっている。

もちろんBDの安定感には遠く及ばないけれど、グレインノイズも多い映像の割には圧縮劣化の目立たない放送画質としては十分安定していた。すっきり画質が好きな人だとむしろテレビ放送の方が良く見える・・・というのは言いすぎだろうけど、BD未見の人がこの放送を見た後にBDを見てもそれほどインパクトは受けない。

上下21ピクセル幅の黒帯付きだけど、タイトルの文字の輪郭などには縦1080のジャギも見え、フルHD相当の映像。上下が少し切れている点などからも、テレシネの時点ではもっと大きなサイズでデジタル化したものをテレビサイズに加工した状態なんだろうけど、静止画で見るとフィルム経由とは思えないくらいジャギ感の強い線になっているところが多い。




BDも巨大分布と表現したくなるような分布でもなく、グレインのノイズ分布に埋もれて境界もはっきりしないけれど、暗いながらも非常に伸びがよい。

線がガタガタになっているように見えるところが結構多く、最初は何か余計なフィルタ処理でもしているのかと疑ってみたものの、ズームされるカットの最もアップされた絵の線を見るとセルに直接人が描いたっぽい線の揺らぎが見えているのが主因のようだ。それでもオリジナル映像は1920x1080には押し込めないくらいの情報を持っていたのか、デジタル化したことで線の滑らかさが失われたように見えるところもあり、フィルム由来でもどこかデジタルっぽい絵に見えてしまい、初めてBDを見たときは映画館とは大きく異なる印象で個人的には結構物足りない映像だった。

完全に自分の好みの話になってしまうけれど、元映像の情報を限界近く残した映像で出来としてはほとんど文句はないものの、光学的な甘さの出る映画と異なり、dot by dotでまったくボケのない表示が可能なテレビでの視聴を考えるとこの映像は鮮明すぎる気がしないでもない。

それ以外でも見ていてたまに気になるのはフレーム毎の明るさが不安定なカット。1コマずつ撮影して動画にしていた時代なので、コマごとの微妙に明るさが変わるのは当然としても、ミスしたと思えるくらい明るさが異なるところもそのまま。フレーム毎の位置のがたつきを軽減するような処理もなく、というのはデジタルでもその効果を加えたポニョを見ればむしろ積極的にそのままにしたのだろう。オリジナル尊重というのもいいけれど、最高品質にしないことでリマスター商法も使えるし、ミス的な要素までそのままの本音はやっぱり手抜きだったりするのかな?